2024年08月16日 15:42

順天堂大学の研究グループは、国内26施設と、心房性機能性僧帽弁逆流症の実態に関する共同研究を行った。僧帽弁は心臓の左心房と左心室の間にあり、心臓の動きに合わせて開いたり閉じたりすることで、心臓の中で血液が逆流しないようにする役割を担っている。僧帽弁逆流症は僧帽弁が閉じ切らず、血液が逆流することで心不全を引き起こす。
僧帽弁逆流症は、近年注目されている心臓弁膜症の中でも手術の原因として最も多いものの一つで、中でも心房性機能性僧帽弁逆流症は、最近新しく発見された。この疾患は高齢者に多く、また近年増加している心房細動という不整脈に合併するため、注目を集めているが、どれくらいの患者数がおり、どのような治療法が効果的なのかは明らかではなかった。
今回の研究では、心房性機能性僧帽弁逆流症の頻度が想定されていたよりも多く、僧帽弁逆流症の11.4%(9人に1人)に及ぶこと。また、外科手術を受けた患者の死亡や心不全による入院率が少ないことを明らかにした。
心房性機能性僧帽弁逆流症は僧帽弁自体には問題がないものの、心房が極端に大きくなることで僧帽弁の合わさりが悪くなり、血液が逆流することで心不全を引き起こす。その頻度や外科手術の治療効果については明らかになっていなかった。多くの施設の治療内容やその後の経過に関するデータを収集することで得られた本成果は、治療戦略を考える上でその意思決定の礎となる。