2024年07月30日 12:37

東北大学と岡山大学では、共同研究成果プレスリリースにて、素早い体色変化を「威嚇の表情」として使うメダカについて発表した。

カメレオンやタコなどの動物種の中には体色を変化させて背景環境にカモフラージュするだけでなく、この体色変化を求愛や威嚇などのコミュニケーションに用いている種がいる。このコミュニケーション手段としての体色変化は、背景へのカモフラージュとして機能していた体色変化が進化の過程で「転用」されたものだと考えられている。しかしながら、この進化プロセスを研究するための適切な実験モデルは限られていた。

東北大学と岡山大学の研究グループは、メダカの一種、セレベスメダカの体色変化が、環境に応じてカモフラージュとコミュニケーション手段の二つの機能を果たすことを明らかにした。また、セレベスメダカにおいてはカモフラージュの体色変化がコミュニケーション手段として「転用」されたことが示唆された。

暗い背景条件では、黒色模様を持つオスはより頻繁に攻撃を行い、黒色模様を持たないオスやメスからほとんど攻撃を受けなかった。一方で、明るい背景条件では、黒色模様を持つオスと攻撃行動の両方が一度も観察されなかった。つまり、背景が暗い環境下では、黒色模様は他のメダカに対して威嚇の意味を持つシグナルとして働くが、背景が明るい環境下では、体色の変化はカモフラージュに優先的に用いられ、威嚇シグナルとして機能できなくなったのではないかと考えられる。詳しい研究内容はこちら(pdf)。