2024年07月26日 15:59

京都フュージョニアリング (KF)と量子科学技術研究開発機構(QST)は、核融合炉の中核機器であるプラズマ加熱システム「ジャイロトロン」の開発において、236GHzの大電力マイクロ波の発生に成功した。

これまでQSTにおいて、ITER向けに開発した170GHzジャイロトロンをベースに1基のジャイロトロンで104GHz、137GHz、170GHz、203GHzの4周波数の発振に成功していた。今回は新たに236GHzの電磁波(パルス幅30 μs)の出力を可能に。これにより、世界で初めて5周波数の実用化に道を開いた。

核融合炉のプラズマ加熱においては、プラズマ閉じ込めのための磁場がより強力であればあるほど、より周波数の高いマイクロ波が必要になる。従って、この成果は高温超伝導マグネット(HTS)等による強磁場にて実現可能なコンパクトな核融合炉設計においても新たな可能性を与えるものとなる。

5つ目の周波数である236GHzは、フュージョンエネルギーによる発電を検証するため建設が検討されている原型炉や、将来的に実用化された場合に建設される商業用発電炉などの、ITERより強磁場となる核融合炉にも適用可能な周波数。この成果は、フュージョンエネルギーの実用化ひいては地球環境問題・エネルギー問題解決に大きく貢献するものと考えられる。今回の達成を踏まえ、今後は出力の最適化や発振効率の検証を行いながら、長パルス運転の実現に向けた開発を推進していく。