2024年06月26日 12:58

富士通はケーネスと共同で、国土交通省が保有する通信用鉄塔の点検業務において、ドローンと富士通のAIによる画像解析技術を活用した新たな点検の実証実験を実施した。

国交省が保有する通信用の鉄塔は、平時だけでなく災害時においても通信手段を確保するための重要な設備として、全国に約1000基設置されている。鉄塔の多くが建設から数十年経過しており、老朽化への対策は急務。また、鉄塔は設置場所に応じて個々に設計されており、点検の効率化が求められている。

通常、鉄塔の点検は、作業員がロープなどでぶら下がりながら、ボルトのゆるみ、錆や亀裂の状態などを目視で判別する高所作業が主となっている。労働人口減少に伴う高所技術者の担い手不足のほか、安全管理の面でも点検業務の改善が課題となっていた。

本実証は、高所での危険を伴う点検業務の負担軽減を目的に、鉄塔の劣化度判定におけるドローンとAIの有用性を検証した。

ドローンに搭載した高解像度カメラを用いて通信用鉄塔の外観を撮影。富士通のAIによる画像解析技術で、ドローン画像から錆の箇所を抽出し、建設電気技術協会が定める点検要領規定の基準により劣化度を4つのレベルに区分。鉄塔を本柱・腹材・二次部材に分類し、部材毎の劣化度を示し、鉄塔全体の劣化度評価を実現。通常の目視による点検と遜色なく、判定できていることを確認した。今後、これらのデータを活用することで、将来的な劣化進行予測も可能になることが期待される。