2024年06月21日 12:56

大林組はセメダインとともに、ほたて貝殻の粉末を利用したシーリング材「スキャロップシール(R)」を開発した。これは、目地や接合部のシーリング材に配合される炭酸カルシウムの代替に、ほたて貝殻を粉砕して製造したバイオマスフィラーを使用した、2成分形変成シリコーン系シーリング材。
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、建設業界では建設資材の脱炭素化に取り組んでいる。仕上げ材料の主原料となる化学合成樹脂をバイオマス樹脂に置き換えることで、低炭素化が可能だが、耐水性、耐熱性などの面で性能不足が課題となっていた。そこで両社は「スキャロップシール」を開発、これにより、従来の性能を維持しながら資材の低炭素化を実現した。
本製品は、廃棄予定のほたて貝殻を有効利用している。ほたて貝殻の主成分は炭酸カルシウムで、難燃性と分解されにくい性質から焼却処分が難しく、処分方法が課題となっていた。この貝殻を粉砕してバイオマスフィラーとして再利用することで、廃棄物の削減が可能。
従来、シーリング材に配合する炭酸カルシウムは石灰石を原料とし、その製造に係るCO2排出量は0.0879kg-CO2/kg。一方、ほたては成長する過程で海水中のCO2を貝殻へ吸収・固定化するため、ほたて貝殻のCO2排出量は-0.44kg-CO2/kgとなり、それを廃棄せずバイオマスフィラーとして再利用することで、シーリング材製造に係るCO2排出量を低減できる。