2024年06月13日 15:59

旭化成は、国内外の半導体デバイスメーカーへのサンプル基板の提供を2024年度下期より開始する。これは、子会社である「Crystal IS社」が製造する4インチ(直径100mm)窒化アルミニウム(AlN)単結晶基板(AlN基板)の使用可能面積が99%を超えてきたため。

AlNは非常に広いバンドギャップエネルギーを持ち、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)よりも電力損失が小さく、耐圧が高いポテンシャルを有する。そのためエネルギー効率に優れ、次世代のパワーデバイスへの適用やRF(高周波)アプリケーションへの展開が期待されている。

一方で、AlN基板の製造には2000℃以上となる昇華炉内部において精緻な温度コントロールが必要であり、これが基板のスケールアップ(大口径化)において最も難しい課題だった。Crystal IS社は1997年の創業以来、本分野のノウハウを蓄積し続けており、これまでも複数回のスケールアップを実現している。2023年8月には、従来の4倍の面積となるAlN基板の4インチ化に世界で初めて成功したことを発表した。

昨年の発表時点では、使用可能領域は80%以上だったが、これまで改善を重ね、今回99%以上のAlN基板を実現した。今後、2024年度下期より、国内外の半導体デバイスメーカーへのサンプル提供を開始する。