2024年03月05日 18:54

熊本大学、東海大学、総合農学研究所の研究グループは、北海道・関東・熊本という限定的な場所でしか発見されていないキタミソウ(絶滅危惧II類)の染色体構造を突き止めた。

これまで、このような特殊な分布パターンを示すキタミソウが、どのように日本にやってきたのか、世界のキタミソウとどのように違っており、どの程度似ているのか、全くわかっていなかった。同グループはキタミソウの染色体構造を解析し、雑種起源の異質四倍体である可能性が示された。

世界的にも、多くのキタミソウは四倍体であることから、日本のキタミソウは、やはり、渡り鳥によって運ばれてきた可能性が考えられる。また、国内での分布が北海道・関東・熊本と、かなり限定的なことから、それぞれの産地のキタミソウは、それぞれ異なる場所から渡り鳥によって運ばれてきた可能性も。

今後、より詳細な解析を行うことで、なぜ、日本国内の分布が限定的なのか、熊本では、なぜ江津湖と秋津町でしか見られないのか。また、日本の異なる産地のキタミソウは、それぞれ世界のどこからやってきたのか。はたまた、日本の3カ所のキタミソウは同一種なのか、等も明らかにできると考える。熊本県でも希少植物として知られているキタミソウについて、より詳細な性質や生態が明らかになると期待される。