2023年12月08日 15:59

戦後から現代に至る翻訳ミステリ叢書と、その受容史を概観した「ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 戦後翻訳ミステリ叢書探訪」が、12月18日発売される。著者は翻訳ミステリの解説や書評を多数執筆している川出正樹さん。
本書は戦後から現代に至る数々の翻訳ミステリ叢書の興亡を辿りながら、その受容史を概観する画期的大著。日本推理小説史を論じるとき、それは日本人の作家による創作と両輪のようにして、本来なら海外で書かれた推理小説がいかに翻訳されてきたか、その歴史も紐解くべきはず。しかし、国内小説から日本推理小説史を概観する評論は数多く刊行されているが、海外ミステリの紹介と翻訳が紡いできた日本推理小説史が論じられる機会が多くはなかった。
本書は、戦後から現代に至る翻訳ミステリの受容史、もうひとつの日本推理小説史を辿る、類を見ない大著となる。著者が四十年以上に亘って渉猟してきた翻訳ミステリ叢書、そのなかから歴史的意義のあるものを選んで、各叢書を企画の意図、創刊の経緯、また終刊ののちにまで与える影響も含めて詳しく紹介。言及される作家と作品は数百におよぶ。
紹介する翻訳ミステリ叢書全巻を一覧にしたカラー口絵をはじめ、本文には150点超もの図版を収録。巻末には資料性の高い戦後翻訳ミステリ叢書・全集一覧を付録したミステリ・ファン必携の一冊となっている。価格3520円(税込)。本書の「まえがきにかえて」をWeb東京創元社マガジンにて先行公開中。