2023年08月01日 19:33

熊本大学の東大志准教授らのグループは、タンニン酸 (TA) と超高分子量のポリエチレングリコール (PEO) を水中で混合すると、ゴム状によく伸びるゲル(TaPeOゲル) が得られることを明らかにした。

TaPeOゲルを、水分を含んだ状態で引っ張るとよく伸び、最大1000% の伸長率を示した。またTaPeOゲルを乾燥させると、軽量で強靭なプラスチック様の素材に変化。大変ユニークなことに、乾燥TaPeOゲルを破断しても、破断面をお湯に浸し再接着させると、元通りになった。

また乾燥TaPeOゲル自体は固い素材だが、お湯に浸して応力を加えると変形可能だった。変形した素材を再度お湯に浸すと、最初の形に戻ったことから、乾燥TaPeOゲルは形状記憶能を有することが分かった。さらに、TaPeOゲルを調製する際に生じる不要な上清を捨てずに乾燥すると、伸長率1500%以上と、今回使用した試験機では測定できないほどよく伸びるフィルム (TaPeOフィルム) を調製することができた。

これにより、TAとPEOを用いると、「ごみゼロ」で、強くて賢いゲルやフィルムを調製することができるということになる。今後、本素材を医療素材などに応用していく予定。本研究成果は、国際科学雑誌「Results in Materials」において、令和5年7月31日に公開された。なお本研究は、文部科学省卓越研究事業の支援を受けて実施された。