2023年07月13日 13:00

熊本大学の研究グループは、老化耐性・がん耐性齧歯類ハダカデバネズミ(デバ)において、老化細胞がデバ特異的なメカニズムにより細胞死を起こすことを明らかにした。

一般に老化細胞は、不可逆的に増殖を停止した細胞で、細胞死を起こしにくく、加齢に伴い組織中に蓄積する。蓄積した老化細胞は、多様な炎症性タンパク質などを産生することで、組織の炎症、老化、そして癌を含む多様な加齢性疾患の発症を促進することが報告されてきた。

デバは最大寿命が37年以上の最長寿齧歯類であり、老化及び発がんに対して耐性を持つことが知られている。しかしこれまで、デバにおける老化耐性のメカニズムについては、ほとんど明らかになっていなかった。

このたび、老化しにくい齧歯類(げっしるい)ハダカデバネズミの線維芽細胞に細胞老化を誘導すると、老化細胞が細胞死を起こすことを初めて発見。また、そのメカニズムとして種特異的なセロトニン代謝と過酸化水素(H2O2)への脆弱性が寄与していること、さらに同様の機構が生体内でも生じていることを明らかにした。

本機構は、生体内での老化細胞の蓄積を防ぐことで、デバの老化耐性、ひいてはがん耐性にも寄与している可能性がある。ハダカデバネズミにおける生来的な老化細胞除去機構の研究をさらに進めることで、より安全な老化細胞除去・抗老化方法の開発につながることが期待される。