2023年02月07日 15:19

ミュージカル「バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊」が、2月7日、日生劇場にて初日を迎える。本作品は、2018年米国トニー賞で、ノミネートされた11部門のうち、作品賞を含む10部門を独占した傑作。

エジプトのアレクサンドリア警察音楽隊が、イスラエルの空港に到着し、ペタハ・ティクヴァへ向かうが、辿り着いたのはよく似た名前の違う街。そこから始まる奇妙で温かい一夜を描いている。回転盆の舞台は真っ赤に染め上げられており、日生劇場の客席の赤い絨毯と赤い座席と相まって、劇場全体が中東のうだるような熱気に包まれている感覚に陥る。

警察音楽隊の楽隊長を務めるトゥフィークを演じるのは、風間杜夫さん。原作映画では寡黙な男性であったが、風間が演じると厳格さの中にもどこか愛らしさが感じられるのも新鮮。迷子になった警察音楽隊を快く手助けする食堂の女主人ディナを演じるのは、濱田めぐみさん。快活な中に妖艶な表情も覗かせるこの役は、彼女の持ち前の歌唱力は勿論、新たな魅力が垣間見える。

「鎌倉殿の13人」でのブレイクが記憶に新しい新納慎也さんも、ブロードウェイで本作を見て出演を熱望した程の想い入れを持っており、トランペット奏者カーレドの色男ぶりを嫌味なく演じている。こがけんさん演じる電話男は終始舞台上に立ち、奇妙な存在として描かれている。しかし終盤で披露される「声を聞かせて」での歌唱は、えもいわれぬ情緒に満ちていて、観客も涙を流すほどの力がある。東京公演は、2月23日まで。詳しくはこちら