2023年01月05日 19:00

大和ハウス工業は、室内の暑さの原因となる屋根の放射熱を、一般的な折板屋根と比較して80%以上抑制する「低放射折板屋根」を開発、1月から本格運用を開始する。

工場や倉庫の多くに採用される折板屋根は、軽量で一定の強度を持つ一方、日射により高温化しやすく、強い放射熱によって室内を暑くする。そのため、室内作業中の従業員などが熱中症を引き起こす恐れがある。同社が開発した「低放射折板屋根」は、折板屋根の下面に低放射裏貼材を接着することで放射熱を抑えることができる屋根材。

アルミ系遮熱シートとガラス繊維系断熱材を組み合わせた独自の低放射裏貼材が、日射で高温になった屋根の放射熱を抑え、一般的な折板屋根と比較して80%以上抑制する。2018年6月と2018年8月に実施した実証実験では、暑さに対する効果検証を行うために同一建物に「低放射折板屋根」と一般的な折板屋根を採用。その結果、「低放射折板屋根」を採用した室内の体感温度は、一般的な折板屋根の室内と比較して3℃低減できることを確認した。

また「低放射折板屋根」は費用対効果も高い。室内での熱中症対策として採用される二重断熱折板屋根や遮熱シートは、一般的な折板屋根と比べ部材や施工工程が多くなり、その分費用が増加する。しかし「低放射折板屋根」は屋根材となる鋼板と低放射裏貼材を接着した状態で工事現場に搬入され、一般的な折板屋根と同様の工程で施工可能。二重断熱折板屋根と比較すると、暑さの軽減効果は同等でありながら、導入費用を7割程度に抑えることができる。