2022年11月17日 15:12

アルファフュージョンは、共同研究先の大阪大学医学系研究科 核医学の渡部直史助教ら放射線科学基盤機構の研究チームと、難治性前立腺がんに対する医師主導治験準備の開始を発表した。

近年、短い飛程でエネルギー(治療効果)の高い放射線として、アルファ線の治療利用が進んでいる。標的アルファ線治療では、アルファ線を出す核種とがんに集積するリガンドを組み合わせ薬剤とし、静脈内投与を行うことで、正常組織に影響を与えることなくがん細胞選択的にアルファ線でがんの治療が可能。アスタチンは大阪大学を中心に研究開発が進められてきたアルファ線核種のひとつ。国内では男性で新規罹患数の最も多いがんである前立腺がんにおける新たな治療オプションとすべく、研究されてきた。

渡部助教らの研究チームが開発した、前立腺がんに発現する前立腺特異的膜抗原(PSMA)を標的とした新たなアルファ線治療に用いるアスタチン標識PSMAリガンド(「At-211」PSMA5)は、非常に有望な医薬品候補化合物。前立腺がんのモデルマウスにおいて、腫瘍に高い集積を示し、単回投与で腫瘍の退縮効果が長期間持続することが確認されている。

今後、世界初のアスタチンを用いた前立腺がん治療薬としての実用化に向け、大阪大学とアルファフュージョンの連携体制で開発を進めていく。本治験・研究成果詳細については、大阪大学のウェブサイトへ。