2022年10月13日 15:20

横浜山手の港の見える丘公園にある「大佛次郎記念館」では、パネル展「横浜山手に暮らす人々-昭和のはじめ」を開催中。

「昭和のはじめ」は、大正末期の関東大震災で甚大な被害を受けた横浜にとって震災復興の時代であり、当時多くの外国人が居住していた山手地区も同様だった。大佛次郎も山手界隈を詳しく歩き、街や人々の生活が復興の中で変わっていく様を、「山手の異人町」として現代小説にたびたび描き出している。

今回は、横浜山手の歴史的環境保全のため、資料の収集や調査に取り組む「横浜山手アーカイブス」が協力。オーストン邸(山手48番)、J.E.ラフィン邸(山手111番)など、ディレクトリと呼ばれる人名録を手がかりに判明した昭和初期の居住者と、個人のアルバム帖などから取り出した貴重な写真をむすびつけ、当時の街と人々の暮らしを8枚のパネルで紹介している。パネル展示会期は12月25日まで。

また、12月4日のトークイベント「大佛次郎のモダンライフ-鎌倉の家-」では、大正から昭和初期に建てられた大佛次郎ゆかりの建物や、同時代の住宅とライフスタイルの関係などを、建築の専門家が映像や図面を見ながら語り合う。なお、2階ギャラリーでは、テーマ展示「JAZZが聞こえる 大佛次郎の昭和モダン」を開催中。あせて鑑賞することで、大佛次郎の現代小説の舞台としての横浜・東京、外国人の暮らすリアルな山手、大佛夫妻がモダンな生活を体現した鎌倉の家とを重層的に楽しめる。