2025年10月09日 16:07

三菱重工グループの再処理機器社は、このほど、原子力防災用可搬型陽圧テント装置「M-CAS(Movable-Clean Air Shelter)」を愛媛県から受注した。
「M-CAS」は、原子力災害が発生した際に避難が困難な要配慮者や孤立地区住民の屋内退避場所を、迅速かつ確実に立ち上げることを目的に開発された。さまざまな建物に設置できるよう可搬型となっている。また少人数で迅速・簡単にテントを展張できるよう、外部フレームがなく、空気を送るだけで自立するエアテントを採用。緊急時における屋内退避空間の迅速な確保が可能。
2024年1月の能登半島地震では、多くの建物が倒壊・損傷し、屋内退避が困難となった。さらに道路が寸断されたため、要配慮者の長距離移動が難しい状況だった。そこで「M-CAS」は可搬型とし、設置場所を選ばない機動性を有するとともに、各タイプのテントを自由に組み合わせることで、設置場所のスペースに合わせた最適配置を可能にした。
具体的には、標準テントは、居室タイプが幅約6m×奥行き約8m×高さ約2.5m、重量約40kg。高さを2.5mに抑えることで、従来のCASでは困難だった公民館、集会場などでの展開を可能とした。また、テントの自立と内部の陽圧化を1台で実現できる空気浄化ユニットを含め、一式を小型トラックやSUV車1台で運搬することが可能。防災倉庫でまとめて保管し、屋内退避場所が不足する場合に指定避難所へ輸送して、迅速に避難空間を確保することができる。