2025年09月09日 19:21

佐賀大学医学部の高玮琦研究員、城戸瑞穂教授らは、熊本大学福田孝一教授、長崎大学筑波隆幸教授、門脇知子教授らとの共同研究で、喘息モデルマウスは、健常マウスと比べて骨量が少ないことを発見した。喘息マウスの骨は、力のセンサー分子であるPiezoチャネルの発現が少ないこともわかった。さらに、Piezoチャネルの活性化を行うと喘息マウスの骨量の減少を抑制できた。

喘息やアトピー性皮膚炎などアレルギー疾患を持つ人は、骨折しやすいことが知られている。これは治療に用いるステロイド薬が骨を脆弱にするためと考えられてきた。

骨が十分な質と量そして強さを保つことは、自立して健康に歳を重ねていく上でとても重要。アレルギー疾患そのものが将来の骨折のリスクを高める可能性を理解した上で、アレルギー炎症を適切に管理することは、骨の健康を維持する上でも重要であると考えられる。Piezoチャネルはアレルギー炎症に伴う骨減少への治療の標的として期待される。

現在の骨粗鬆症の治療薬は、破骨細胞の抑制や骨芽細胞活性化の効果は高いものの、骨を十分に獲得するまでには至っていない。これは、骨量が減る仕組みに不明な点が多く残されているからだと考えられる。本研究の成果が、アレルギー疾患に伴う骨量減少への新たな予防戦略やメカノセンサーを標的とした治療薬の開発へと繋がることが期待される。