2025年06月25日 15:59

東京農工大学と日本野鳥の会は、伊豆諸島で繁殖する海鳥オーストンウミツバメの尾腺ワックス中の残留性有機汚染物質や紫外線吸収剤の濃度を定量し、評価した。これは、プラスチック汚染の海鳥への影響を調べることを目的としたもの。

その結果、有害なポリ塩化ビフェニル(PCBs)とジクロロジフェニルジクロロエチレン(DDE)が検出され、北太平洋に生息する他の海鳥と比較しても高い濃度で蓄積していた。また、プラスチック添加剤のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BUVSs)についても高い濃度で蓄積している個体がいること、そのなかにはストックホルム条約に登録されているUV-328が含まれていることも明らかになった。これらのウミツバメ類での蓄積は、国内では初めての知見となる。本研究は「Marine Pollution Bulletin」(5月30日付)にオンライン掲載された。

本研究では、伊豆諸島に生息するオーストンウミツバメに高濃度の有害化学物質の蓄積が起きていることが明らかになった。今後は、ジオロケータなどの機器を用いた利用海域の特定や生態情報の収集、繁殖状況のモニタリングを行う。

さらに本研究の結果は、ウミツバメ類におけるプラスチック汚染のリスクを危惧した国外の研究と一致しており、世界中のウミツバメ類についてもプラスチック汚染に関するより幅広い調査を行うことが望まれる。詳しくはこちら