2024年10月24日 16:02
第一工業製薬は九州大学先導物質化学研究所の田中賢教授らとの共同研究成果をもとに、生体適合性を有する水系ポリウレタン樹脂を開発した。これにより、従来の医療機器コーティング材の課題を解決し、医療分野の発展に貢献する。
生体内に使用する医療機器表面には「生体適合性」、特に血液と接触する場合には「抗血栓性」が求められる。現在、PMEA やPMPCが抗血栓性コーティング材として使用されているが、PMEAは柔らかすぎて成型できない、PMPCは水溶性で表面から溶出する課題がある。
今回、同社では、九州大学先導物質化学研究所の田中賢教授が提唱する「中間水コンセプト」をもとに、ポリオール、ポリイソシアネート、親水基の構造を最適化。抗血栓性を有する水系ポリウレタン樹脂の開発に成功した。本材料はポリウレタン樹脂特有の優れた力学物性を有し、非水溶性で、従来の抗血栓性コーティング材と同程度に血小板の粘着を抑制する。また、構造の調整により皮膜の柔軟性や強度も調整可能。さらに本材料は、タンパク質吸着抑制能および細胞非接着性を示すことから、防汚材としての利用や再生医療への応用も期待できる。
今後、用途に合わせた物性のカスタマイズや性能評価を進めるとともに、サンプル提供を行い、ライフサイエンス分野を含む幅広い用途での展開をめざす。