2024年09月05日 19:00
すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラによる探査により、カイパーベルトのさらに外側に天体の集団が存在する可能性が示された。太陽系の成り立ちを知る上で重要なこの研究成果は、太陽系外縁部を進むニューホライズンズ探査機とすばる望遠鏡の国際協力によって得られた。
NASAのニューホライズンズ探査機は2006年に打ち上げられ、2019年にはカイパーベルト天体の一つであるアロコスにフライバイ。しかし、探査機に搭載されている視野の狭いカメラでは、探査機自らがカイパーベルト天体を発見することはできない。ここで活躍するのがすばる望遠鏡。2020年からはすばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(HSC)を使ったより深い観測が始まり、2023年までの観測で239個のカイパーベルト天体が発見された。
発見された天体の多くは、太陽から30-55 天文単位(au:1天文単位は太陽-地球間の距離に相当する)の距離にあり、既知のカイパーベルトの中にあると考えられる。一方、研究チームが予期しなかったことは、70-90 auあたりに一群の天体がありそうに見えることと、55 auと70 auの間に(天体が少ない)谷間があるように見えること。このような谷間は他の観測では報告されていなかった。
ニューホライズンズは、現在太陽から60 auのところをさらに外側に向って飛行中。すばる望遠鏡とニューホライズンズ探査機がカイパーベルトの先に何を発見するのか、研究チームは楽しみにしている。