2024年04月12日 16:06

アストロスケールはこの度、商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J(アドラスジェイ)」のミッションにおいて、デブリとの距離を数百kmにまで詰め、さらに距離を縮める近傍接近を開始した。

運用を終了した衛星等のデブリは非協力物体であり、外形や寸法などの情報が限られるほか、位置データの提供や姿勢制御などの協力が得られない。よってその軌道上での状態を把握しつつ、当該デブリに安全・確実にRPO(ランデブ・近傍運用)を実施することは、デブリ除去を含む軌道上サービスを提供するための基盤となる。

ADRAS-Jは実際のデブリへの安全な接近を行い、デブリの状況を明確に調査する世界初の試み。具体的には、大型デブリ(日本のロケット上段:全長約11m、直径約4m、重量約3トン)への接近・近傍運用を実証し、長期間軌道上に存在するデブリの運動や損傷・劣化状況の撮像を行う。

2月22日より開始した接近の運用では、軌道投入時にはデブリと異なる軌道にあった衛星を、 GPSと地上からの観測値という絶対的な情報を用いて(絶対航法)デブリと同じ軌道へと調節。デブリの後方数百kmにまで接近させた。そしてこの度、ADRAS-J搭載のVisCam(可視光カメラ)にてデブリを捕捉。衛星搭載センサを駆使して、デブリの方角情報を用いる相対航法を開始した。

今後はこの方角情報も用いながら安全に接近を続け、その後は搭載センサが取得するデブリの形や姿勢などのさまざまな情報をもとに、さらに距離を詰めていく。詳しくはこちら