2023年03月09日 15:24

IBUKIは、撥水剤等を塗布することなく、射出成形のみで高い撥水効果を有する金型技術を開発した。一般的に、高撥水・超撥水効果を持つプラスチック部品を製造するためには、射出成形したプラスチック部品に撥水剤の塗布や撥水シートを貼る等の二次加工を施す必要がある。このため、二次加工のための資材および作業コストが余分にかかるだけではなく、塗装時の作業者に対する有機溶剤の影響など環境面での問題が懸念されていた。

この問題を解決するため、IBUKIは、二次加工なしに射出成形により、成形するだけで超高い撥水効果が得られる金型製造技術を開発した。プラスチック部品の物質の表面に微細な凹凸加工を施すことで、撥水機能が得られることはロータス効果として知られている。この原理を用い、通常の射出成形設備で容易に撥水性の高いプラスチック部品の実現に取り組んだ。

2年に及ぶ研究開発の結果、サンプル品ではあるが、PP(ポリプロピレン)樹脂を用いて超高い撥水効果が得られることを実証。通常のプラスチックの場合、撥水角は90~100度程度だが、IBUKが開発した超撥水プラスチック部品は、撥水角が140度からさらに成形条件を好適化することで150度を突破。「超撥水」と呼ばれる高い撥水性を持つことを確認した。

この技術を用いることとで、二次加工である撥水剤の塗布や撥水シートの貼り付け作業がなくなり、追加素材や工数を削減。撥水剤が塗布しにくい、撥水シートが貼りにくい形状でも撥水性を得られ、二次加工によるミスもなくなる。