2022年09月13日 15:41

凸版印刷は、スマートフォンで撮影したくずし字資料を、その場で手軽に解読できるスマホアプリを開発した。2021年にサービス提供を開始した古文書解読支援システム「ふみのは(R)ゼミ」は、パソコン・タブレット上での利用、かつ法人向けに限られていた。それに対し本アプリケーションは、一般利用者でもスマートフォンで撮影したくずし字資料を、その場で手軽に解読できる。

日本国内に数十億点以上残存すると推測されている古文書には、江戸時代の生活の様子や災害の記録など、貴重な情報が記されている。しかしそのほとんどは「くずし字」で書かれているため、現代人にとって判読が困難となってしまい、当時の記録・文献を活用する際の大きな障壁になってきた。また、個人が所有している古文書は、内容がわからないために破棄されるケースも多く、解読されないまま災害による損傷や紛失、焼失などのリスクにさらされた状態で各地に眠っている。

本アプリケーションは、木版を用いて印刷されたくずし字資料に対応したAI-OCRに加えて、新開発の手書きの古文書に対応したAI-OCRを搭載し、幅広い資料の解読を支援。資料館等での古文書の解読や調査業務の効率化をはじめ、一般利用者の「手元にある古文書の概要を知りたい」「くずし字を読めるようになりたい」といったニーズに対応する。

9月より、三井文庫、京都市歴史資料館、和洋女子大学などの協力のもと実証実験を開始。2023年1月にベータ版公開、3月に正式版の一般販売を予定している。